2012 年 3 月 8 日 ver3.3

日本不安障害学会(JSAD) 不安障害専門医制度(案)

 日本不安障害学会は、下記の11の要件を満たす者を不安障害専門医とする
  1. 日本不安障害学会会員であること
  2. 医師免許を有すること
  3. 不安障害(パニック障害、広場恐怖、特定の恐怖症、社交不安障害、全般性不安障害、強迫性障害、PTSD など)および合併する頻度の高い精神疾患(大うつ病性障害、気分変調症性障害、パーソナリティ障害、広汎性発達障害など)を DSM-IV に従って診断でき、リスク・アセスメントが行えること
  4. 不安障害に対するエビデンスに基づいた第一選択の治療(認知行動療法、薬物療法など)を、治療同盟、心理教育、環境調整、社会的支援とともに、患者に提供するための治療計画をたて、医療チームを管理指導できること(認知行動療法は、チーム医療として医療従事者が実践する 1 セッション 30 分から 50 分程度、毎週 1 回で合計 16セッション程度の個人認知行動療法を含める)
  5. 単一の不安障害が主診断であり、他に重篤な合併精神疾患を有しない患者を、治療の標準適応であると判定できること
  6. 不安障害が主診断であるが、複数の不安障害を合併していたり、大うつ病性障害を有していたりなど、他に重篤な合併精神疾患を有する患者を、治療の拡大適応(標準適応でない)であると判定できること
  7. 不安障害の重症度を自己記入式 GAD-7(JSAD 版)を用いて評価し、治療前後の改善を判定できること
  8. 不安障害に合併する大うつ病性障害の重症度を自己記入式 PHQ-9(JSAD 版)を用いて評価し、治療前後の改善を判定できること(他の尺度についても可とする)
  9. 初期治療の終結時に、評価者による最終全般改善度(CGI-C)を用い、また、DSM-IVの不安障害の診断基準を満たさなくなったかどうかを診断し、その後の再発防止、治療のモダリティ変更、紹介など続く治療管理計画を適切にたてることができること
  10. 個人情報を除いた形で、不安障害の個人認知行動療法の治療効果成績のまとめ(GAD-7 の変化、PHQ-9 の変化、CGI-C など)を、毎年 1 回指定された方法により、日本不安障害学会に提出できること(WEB での電子提出も将来的に検討する)
  11. 上述された不安障害専門医についての必要な要件について、日本不安障害学会の指定する不安障害専門医講習を受けていること(WEB 講習も将来的に検討する)

日本不安障害学会 理事長 久保木富房(東京大学名誉教授)
評議員長 貝谷久宣(医療法人和楽会、パニック障害研究センター)
担当理事 清水栄司(千葉大学)、佐々木司(東京大学)、熊野宏昭(早稲田大学)

(資料)
 PHQ-9,GAD-7日本語版は村松公美子、宮岡等、上島国利らにより再翻訳法を経て作成されました。
 日本不安障害学会会員は、PHQ-9(JSAD版), GAD-7(JSAD版) を臨床使用、複写できます。